『時間は逆戻りするのか』
高水裕一さんの『時間は逆戻りするのか』を読みはじめました。
2019年、量子コンピューターを用いた実験で、ロシア、アメリカ、スイスの共同チームが、
『時間が逆転する現象』を初めてとらえるこにに成功した、とのこと。
この本の導入ページでは、そして、こうはじまる。
『人生の転換点で、自分が決断し自分が実行したと思っていることが、
じつは、そうではなかった。
私の決断によって起こったはずのできごとが、じつは私の決断より先に起こっていた。』
著者は、まるで、SF小説のような語り口で、こうして読者を本文に引き込む。
最近の物理学の学者の本は、宇宙の真理は結局のところよく分からないが
(はっきりとはそう言わない)、
人間の個々観測、人間個々の時間、などといった、たくさんある宇宙、
を語る方が多くなってきた。
そして、こういった本が、ベストセラーになるほど、人々もそのことを、
認識しはじめている。
カルロ・ロヴェッリ氏の著作が近年では代表とされるだろう。
この『時間は逆戻りするのか』もこういった、素人にも分かりやすい文体で、
宇宙を語っている、新しい著作物である。
世界のほとんどは、対称性がある。
しかし、時間はどうだろ。
実生活のわたしたちは、一方に、時間は流れているように感じ、対称性など、
感じてはいない。
過去と未来は、対称ではなく、別ものである。
けれど、氏言わく、自分の決断したと思っていることが、
じつは、そうでもなかったという事象。
こういった経験や、感覚について、どうだろう。
わたしについては、時折感じることがある。
人生の点と点が結びつき、この結果は、あの時‥やけに悩んで決断した、
あのことがあったからか‥。
はたまた、この結果は、つまり、自分の両親からのなんらかの影響だったのか、
と何年も後で気付いたり。
人生では、このことは、原因より、結果のほうが先だったのではないか、
そう思うことは、よくあるものだ。
この感覚は、つまり、時間の逆戻りのような、感覚だ。
現代の物理学では、難しい理論より、こういった人間の感覚を主体にした思考を、
人それぞれの時間や、
観測者が見る世界、人生主体者を軸にして、
語っている著作が多く出版されてきている、
機会があれば、手にとって、楽しんでくだされば幸いです。